ゴーストについて
ゴーストは、イタリア・トスカーナ地方にある名門タンナー「ブルターニャ社」が製造する、特別な仕上げが施された植物タンニンなめしの革です。
表面に白いワックスを塗り込めた外観が特徴で、使用するほどにその下に隠された色艶が現れていきます。この“包み隠された美しさ”から、ゴーストと名付けられているのでしょう。
表情について
白く曇ったような表情です。これはロウ(ワックス)をたっぷりと塗り込んであるためです。
左からブルー、ブラック、キャメルです。半透明のベールに覆われたように見えます(ロットや部位によって下地の色が見え隠れします)。
エイジングについて
ゴーストのエイジングは格別です。
革の表面に厚く塗り込まれた白いワックスにより、あえて下地の色を隠すように製作されています。使い込むことで徐々にそのワックスが落ち、内側に秘められていた鮮やかな色と艶が現れる——その劇的な経年変化こそが、ゴーストの最大の魅力です。
さらに時間を重ねることで、表面にはしっとりとした上品な光沢が宿り、深みと奥行きが加わっていきます。
質感について
厚みは2mmほど。適度なハリ、硬さがあります。
ワックスが塗られていることで、使い始めはややマットでサラッとした感触です。
ワックスが取れると(なじむと)、しっとりとした触り心地が増していきます。
エイジングについて
「変わっていく革」──それがゴーストの魅力です。
こちらは実際にゴーストのminiを1ヶ月ほど使用した変化です(使用環境や個体差によって変化の度合いは異なります)。
表情の変化
白くマットだった表面は、ワックスが取れるとともに光沢を帯びはじめ、奥に潜んでいた鮮やかな色合と艶やかさが現れてきます。
使い始めて数週間すると、財布の角やフラップの端など、よく触れる部分ほどから少しずつワックスが薄れ、顕著にエイジングが進みます。
ワックスの落ちるスピードは使用環境や個体差にもよりますが、ブライドルレザーのブルームが取れるよりもゆっくりに感じます。少しずつ変化を楽しめる革です。
しなやかに、そしてスマートに
ミネルバリスシオなどと比べると硬めの革ですが、使い込むにつれて少しずつしなやかさが増してきます。最初はふくらみがちだったminiのフォルムも、革がなじむことで引き締まり、スリムでスマートな印象へ変化していきます。
香りについて
革の香りはなめし工程で使われるオイルなどによって左右されますので、タンナーごとの香りの特徴があります。
上質なウッディさと、タンニンなめし特有の革っぽさが共存したナチュラルな香りが広がります。
革そのものの香りは割とあっさりとしています(ブッテーロやミネルバと比べると香りの強さもクセも控えめです)。